眠るとき、それは静寂につつまれた空間に身を置き、繊細な音まで聞こえてくる時間・・・
そんな静けさの中、どこからともなく「ピキッピキッ」と何かが物音がすることがある。
テレビや動画などでもこの音の正体は「ラップ音」だ!とホラー特集されていたりしますよね。ホラー特集を見た後だと「幽霊がいるのではなかろうか?」と心配になることも。
現場監督をやっていた頃、ベテランの大工さんに不可思議な音の現象について教えてもらったことがある。そして、この音の正体は幽霊ではなく、家の材料が原因であることを物理的に理解したのだ。
ここでは、ラップ音のような現象がどのように発生するのか紹介していく。
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家が鳴る!?「ラップ音」ってどんな音?
ここで言うラップ音とは、家のどこからか「パキッ!」と鳴ったりすること
とくに深夜に目が覚めてから、中々寝付けないでいると突然、「パキッパキッ」と聞こえてくることがあるかと思います。
睡魔に襲われて気にならなければいいのですが、一度気になってしまうとちょっと怖いですよね。
「ラップ音」は家鳴り
「ドンッドンッ」みたいに大きい音ならば、もしかすると本当に心霊現象かもしれないのでなんとも言えません。
ですが、集合住宅のような場所に住んでいるのであれば隣人が物音を立てていることがほとんどかと思います。また、戸建でも家族の仕業かもしれませんよね。それに風で家の壁にモノが当たった音かもしれません。
心霊現象は根拠が無さすぎて、個人的には一切信じていません。
もし、誰もいないはずの自宅で「パキッパキッ」などの音がするのであれば、原因は「家鳴り」の可能性が高いです。
建築の観点から見る「家が軋む音(ラップ音)の正体」
日本の家はほとんどが木造でできていることはご存知でしょうか?
木造では、柱や梁(はり)といった構造上重要な場所で木材を使用しているのですが、この木材が割れる時に発生する音がラップ音の正体なのです。
平成26年度の国土交通省の調べによると、新築戸建て住宅の構造で鉄骨やコンクリートで作られているのは、わずか1.6%とされています。
参考http://www.mlit.go.jp/common/001114083.pdf
つまり、ほとんどの人がラップ音を聞いたことがある可能性が高いことになります。しかし、木材が割れるということを知らないがため、家鳴りをラップ音と勘違いしてしまうのです。
木材が割れる音の発生メカニズム
大工さんの他にも建築士にも話を聞いたことがあるので、木材から音が発生する仕組みについて紹介!
木材は伸縮が原因で割れて音が発生
具体的には、冬場でエアコンやストーブなどの暖房器具を使うことで、部屋の中の温度が急激に上昇しますよね。
この時に木材の外側と内側で温度差が生まれて、外側の水分が少しだけ蒸発して乾燥状態となります。
乾燥することによって木材は縮む力が強くなってしまいます。
その結果、内側よりも外側のほうが縮もうとする力が強くなってしまい表面が割れてしまうわけです。
割れると同時に「音」が発生して、「パキッパキッ!」と家鳴りがするのです。
家はけっこう多くの材料を切り貼りして作られてるから、新築だと材料の落ち着きがなくて頻繁に伸縮してるようです。
さいごに
身近な心霊現象の1つに「ラップ音」がありますが、実際には家鳴りであることがほとんどです。
家に使われている木材が音を出していることを理解できれば、「パキッパキッ!」という音が鳴っていても怖がることはありません。ごく自然の現象であることを理解いただけたかと思います。
ただ、新築ではなく数年経つ家で「家鳴り」が多いのであれば、
部屋の中の通気性が悪かったり温度差が激しいことが原因かもしれませんので、家具の配置などを見直してみることをオススメします。
それでも、心霊現象だと思う人は・・・盛り塩でも置いてみるといいかもしれませんね。